人生で一番大事なのは思い切り→諦めである。

会社員からドロップアウトした物書きが、好きなときに・好きなことを・好きなように書き溜めていくブログです。

ぬこぬこパラダイス

こんばんは。ぼちぼち見てくださっている方がおられるようで嬉しいです。ありがとうございます。
完全に趣味で書く場ではありますけれど、やっぱり誰もいらっしゃらないと泣きたくなってくるので。

うちには猫が一匹います。元野良なんですが、片親が長毛種だったらしくて半長毛くらいの毛並みで。
何歳なのかはっきりしません。多分今年で5~6歳くらいかな。人間でいえば30~40歳くらい。
でもオスなこともあって、ものすごく甘えん坊です。一人暮らしで一対一で過ごしてるからかもしれない。

そして、猫エイズを持っています。
人間のエイズは少しずつ解明されてきていますけれど、猫エイズはまだまだ。
HIVに対して、FIVといいます。
ただ、HIVよりも寿命や日和見感染などの頻度は低いそうです。寿命もあまり変わりません。
だから余計に後手後手になってしまっているのかも。

うちの子も、たまに風邪をひくことはありますが、基本的にはとても元気です。
先日お年玉代わりに新しいおもちゃ(ただし安物である)を出したのですが、まあ飛び回るわひっくり返るわパンチ繰り出すわくわえて転がりまわるわで、正直キャリアってことすっかり忘れてました。
その1シーンがこちら。

 

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あ、スイマセン顔が見えてなかった。

こっちですこっち。

 

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可愛いでしょう? イケニャンでしょう?
でもこの子、ボランティアさんに拾われてから何ヶ月も引き取り手がなかったんです。

あれは、ちょうど震災が起きた年でした。
私はその頃うつと不眠症が悪化していて、最初の会社を休職していたところ。
人と話すのが億劫だった時期を乗り越えて、近所に地域猫活動をしている区域があることを知り、そこの猫を通して何とか会話ができるようになり始めた頃でした。

そこの猫はみんな人馴れしていて、中には堂々と膝を占領して昼寝を楽しむ子もいました。
通っているうちに、いつしか私は「そうだ、猫を飼おう」と思い始めました。
しかし、当時住んでいた部屋はペット禁止だったため、「一緒に暮らしたいと思う子が見つかったら引っ越そう。見つかったら」と決めました。
この時点で半ば以上本気で引っ越すつもりだったのですけどね。

そして震災が過ぎた頃、ボランティアさんがこの子の飼い主を探しているのを知りました。
一目見て、「この子がいい!」と思いました。
一昔(二昔くらいかもしれない)前の表現で言えば、「ビビビときた」感じがしたのです。
写真なのに、目が合ったように思ったんですね。


でも、しばらくは悩みました。
FIVキャリアの子を、猫初心者の自分が引き取ってもいいんだろうか。
もっと扱いに慣れている人のほうが、この子が幸せになれるんじゃないか。
そう思って、半月か一ヶ月くらい毎日、ボランティアさんのブログを見ていました。

しかし、そうした人は現れませんでした。
私は思い切って、様子を見ていたことと猫を飼うのは初めてだということ、それでも良ければ引き取りたいということをメールに書きました。
休職中だということも合わせて包み隠さず書きました。
ボランティアさんはとても良い方で、「それなら、一度お見合いに来てください」とすぐお返事をくださいました。
この頃初めて知ったのですが、事前に一度猫とボランティアさん両方と顔合わせをすることが多いんですね。


県内とはいえほぼ2時間かけて電車に乗り、ボランティアさんのお宅で初めて直にこの子と会いました。
当たり前ですが、写真通りのとても可愛い子でした。
「初めて会う猫の前でキャーキャー騒がしくしてはいけない。最初は静かにして、猫が落ち着いたら鼻に指を近づけたり、少し撫でてみること」というセオリーを地域猫たちで実践していたので、その通りにしました。
すぐに近寄ってくることはありませんでしたが、おびえた様子もなかったと思います。

その後一度部屋を出て、ボランティアさんと少しお話をさせていただきました。
「特になければ、このままお譲りしたいのですが」という有難いお申し出で、もちろん即座に頷きました。
そのとき印象に残った質問が一つ。「子猫を飼おうとは思わなかった?」と聞かれました。
私は「子猫は確かに可愛いけれど、すぐ大きくなってしまうし、今は子猫のしつけや遊び相手になれるか不安だから」と答えました。
100点満点ではなかったかもしれませんが、納得してくださって嬉しかったのを覚えています。

話が終わってからもう一度会わせてもらうと、今度は猫のほうから近寄ってきてくれました。
それだけでもちょっと泣きそうでしたが、撫でさせてくれそうだったのでそのまま数回触れると、なんと喉まで鳴らしてくれました。
あのゴロゴロいう声をそれまで聞いたことがなかったので、目が潤むような感動を覚えたことがとても強く印象に残っています。


その後ペット可の部屋に引越し、この子を迎えて現在まで一人と一匹で暮らしています。
たまにマーキングや粗相をされてしまって困ることもあるけれど、一緒に寝てくれたり好きに撫でさせてくれたりと、とてもいい子です。
お腹も尻尾もOKな子ってそうそういない……ですよね? 一瞬でも嫌がったらすぐやめますけども。

 

で、何が言いたいのかというと
「元捨て猫や野良猫でも、可愛い子はたくさんいる」
「FIVに感染していても、発祥しない限りは日常で食事や運動制限をする必要はない」
ということです。

上記の通り、うちの子は今もFIVキャリアです。外には出せません。
交通量がそこそこ多くて心配というのもありますが、他の子にうつすようなことがあってはいけないからです。
しかもこの子、人間は基本的にOKのくせして猫は大嫌いらしく、はるか階下で野良猫が通っただけでも網戸に飛びついたことがあります。

動物病院の待合室や、初めて写真を見せた方には「絶対血統書ついてるでしょ」といわれます。
でも、少なくとも一年前後はずっと外で暮らしていた元野良猫です。
どういうことか、伝わるでしょうか。

これは「綺麗な猫は血統書がついているに違いない」、裏を返せば「血統書がついていなければいい猫ではない」という意識を持っている人がとても多いということになるのではないしょうか。
それが潜在的になのかどうかは別として。

 

多分、犬でも同じことがいえると思います。
血統書のある子ももちろん可愛いです。毛並みや顔、体格が一定の範囲に収まるように人間が仕立ててきたんですから。
でもそれと引き換えに、純血種の犬や猫は品種特有の病気や異常を持つこともよくあります。

ブルドッグの頭を叩いてはいけない理由を知っていますか? 
元々目が飛び出しているため、すっぽ抜けてしまうことがあるからです。

メインクーンに心臓病が多い理由、わかりますか?
この品種特有の遺伝子異常が、純血と個性のついでに引き継がれてしまっているからです。

つまり、見目の良さやその他人間の都合で、ずっと病気を背負わされている生き物がたくさんいるということになります。

 

元々生き物は、自分と離れた遺伝子を持っている個体と子孫を残そうとする性質があります。
そのほうが悪い遺伝子が伝わりにくくなり、病気や環境の変化に強くなるからです。
ですから、雑種の犬や猫は基本的に生き残りやすいし、飼いやすいということになります。
成長していればなおのことです。子供のうちは体を壊しやすいですし、特に猫の場合真夜中に遊びたがって大変ですから。

最近はボランティア活動がいろいろ広まってきて、そこから引き取る方も増えています。
でも、そういうところで人気が集まるのはほとんど子猫です。
出産シーズン後の里親サイトでも、子猫の情報が大量に出てきます。
しかし、その中には必ず成猫もいます。

子猫が可愛い、それはもちろんです。
では、大人の猫を見たとき、可愛いと思えるでしょうか?

私は、成猫を可愛いと思えないなら飼わないほうがいいと思います。
子猫の成長は早いです。半年程度でだいたい大人になります。
そのときに可愛いと思えず、捨ててしまう人がたくさんいます。
多分捨てる人は何とも思っていないのでしょうが。


捨てられて、また拾われる子は何匹に一匹でしょう?
それ以外の子はどこへ行くんでしょう?
保健所でどのように殺処分されるでしょう?


そうした哀しいことを防ぐためには、成猫を引き取るというやり方もあるのです。
避妊や去勢をするのはかわいそうでもありますが、将来このあたりの病気を防ぐことにもなります。
生まれてきて殺されるくらいなら、最初から生まれないほうがいいじゃないですか。
そして大人の猫を、一生ご飯と寝床に困らないように可愛がってあげればいい。
私はそう思うのです。

 

……ところでこの記事、ここまで40分くらいで書いてるんですけど最初から最後までずっと猫が足の上を占領しててしびれてきたのでそろそろやめていいですかね。
でも柔らかいし気持ち良さそうに寝てるから許しちゃう。