人生で一番大事なのは思い切りと諦めである。

会社員からドロップアウトした物書きが、好きなときに・好きなことを・好きなように書き溜めていくブログです。

Frostpunk~19世紀の北極圏で労基など守っていられない~

昨年の春あたりからSteamのシミュレーションゲームにハマりまして。
最初にやったのは”Cities:Skylines”でした。
 
Cities:Skylinesもとても良いゲームなのですが、シミュゲーあるあるの「ストーリーがない」ところがちょっとだけ物足りず。
Steamのおすすめキューをたどって見つけたのがこの”Frostpunk”。
住民個々人の個性はないものの、ストーリーラインや時代背景がとてもしっかりしています。歴史好きにもおすすめできるゲームかと。
実はThis War is Mineと同じ開発元です。私がプレイしたのはFrostpunkが先で、そこからThis War is Mineを知りました。
なんでブログでは逆に書いたのかというと、気分です。
 
 
 
さて、Frostpunkはどういうゲームかというと、公式が言うには
 
「社会サバイバル」
 
だそうです。
サバイバルゲーの主役は個人か数人程度のことが多いですから、ここがまず斬新ですね。
では社会ごと生き残らなければならない理由は何か? ここが歴史好き、そしてゲーマーの心をくすぐります。
 
 
蒸気機関が独自の発展を遂げた架空の19世紀において、突如スノーボールアース現象が発生。
人類存続のため、まずイギリス政府が石炭資源の豊富な北極圏への移住を計画した。
各国も追従し、酷寒の地に造られたジェネレーター(巨大蒸気機関)を中心に、人々は新たな街を作ろうとしはじめる」
 
 
というのです。
スチームパンクの世界観+極寒の世界=Frostpunk、ということなんでしょうね。
スチパン好き、サバイバル好き、シミュゲー好き、そして歴史好きのどれかに当てはまれば買ってしまうであろう、実に見事な設定です。
具体的な人数は知りようもないですが、多分ゲーマーの1/3くらいは刺さるんじゃないでしょうか。
 
 
実際の地球でも、19世紀というのは比較的温度の低い時代でした。
14世紀半ばから19世紀半ばは「小氷期」と呼ばれていて、特に17世紀半ば頃の欧米諸国では「川が凍り、歩いて渡ることができた」「6・7月に雪が降った」という記録が散見されます。
日本では江戸時代中~後期、十代将軍・徳川家治田沼意次あたりの時代です。ナントカの大飢饉が相次いでいた頃ですね。
 
主な原因は1783年に起きたアイスランドラキ火山の噴火でした。
アイスランドは温泉でもよく知られていますけれど、それは日本同様に火山だらけということも意味するわけで……。
2010年に噴火したエイヤフィヤトラヨークトル火山もアイスランドです。主にヨーロッパの航空事情がえらいこっちゃになったアレ。
 
噴火=熱いイメージの方も多いと思うんですが、なんで寒くなるのかというと
 
 
火山が大噴火する
火山灰や噴石が広い範囲に撒かれる
太陽光が遮られる
日照時間が減って気温が上がらず、植物の成長も阻害される
飢饉・疫病の発生
社会的に大打撃を受ける
 
 
というわけです。
これは日本人にとっても他人事じゃありません。たぶん甲信や東海地方の方はお詳しいかと思うのですが、富士山が大規模な噴火をした場合、おそらくこういった事が起こるだろうといわれているからです。
くわばらくわばら。
 
This War of Mine同様、
 
「これはあくまでゲームだけれど、現実に起こりうることなのだ」
 
と感じさせるのがとてもうまいんですよね、この開発元。
 
 

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最初のシナリオ「新しい家」の初期状態。

どうあがいても絶望に見えるけどいけるいける。

この酷寒の状況に対応するため、プレイヤー(ゲーム内では”キャプテン”)は様々な法律を制定して団結を図りながら、家や生産施設を作っていくことになります。
最初のシナリオ「新しい家」ではまず「適応」というカテゴリの中から法律を選んでいきます。 

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多分初手で「児童労働」か「緊急シフト」を取る人が多いのかな。
私は児童労働派です。最初は石炭や木材・鉄材を拾い集めるところから始まるので、子供たちにとっても安全ですし、人手が一人でも多くほしいからです。
住民にめっちゃ文句言われますが、19世紀のイギリス出身者ならむしろ普通に受け入れるのでは……と思いました
 
緊急シフトは過労死の危険があるので、よほど緊急時でない限り使いたくないですね……。その先に「延長シフト(労働時間を10時間→14時間に設定できるようになる)」があるから取るという人が多いんじゃないでしょうか。
 

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ロード中に一応アドバイスがもらえます。
 
 

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「緊急シフトで働く住人は不満を覚えるようになります」

で す よ ね

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こちらはいわゆる研究ツリー。
ワークショップという建物を建ててエンジニアを配置しておくと、資材を消費して新たな建物や技術を身につけられます。
シナリオごとに優先すべきもの・最後までいらないものがあるので、その試行錯誤もまた楽しいです。
 
 

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「新しい家」を少し進めたところ。

左下の丸いエリアは蒸気ハブで職場をまとめて温めています。

 
「新しい家」を20日以上プレイすることができれば、他のシナリオも選べるようになります。
「聖櫃」はいつか来る(はずの)春のために、作物などの苗を守るべく科学者たちが奮闘するというもの。個人的にはかなり好きなシチュエーションです。
マップも小さめで資源が近いので、割と難易度が低いんじゃないかと思います。
 
「難民」は、階級社会で圧力を受けていた難民たちが領主(ってゲーム中では書いてあるけど多分”貴族”が正しい)からジェネレーターを奪い、自分たちの勢力圏を作り上げていくという話です。
19世紀の格差社会を垣間見られるシナリオで、これも好きです。
 
「ウィンターホームの滅亡」は「新しい家」の前日譚にあたります。タイトルが最大のネタバレですが、ラストもなかなか……。
スタート時の状況が一番悲惨なシナリオだと思います。
 
 
初期状態で入っている4つのシナリオに共通するのは2点。
 
「終盤にえげつない量の資源が必要になる」
 
そして
 
「多数の人命が関わる取捨選択を迫られる」
 
ということです。
 
前者については一定時間経過までは「使いながら補給」でも足りるんですが、そのあたりで岐路に立たされます。
資源倉庫の建設やアップグレードも早めに手を付けておくのが良いでしょう。
 
後者についてはまあ文字通り。
基本的にどのシナリオでも「より多くの人を救おうとするほどキツくなる」=「自分たちが生き残るだけなら簡単になる」ゲームです。
人の心を捨てたほうが楽になる上にデメリットも減るんですよね……。
 
シナリオごとに初期人数や転がってる資源の量が違うので、何を最優先すべきかも変わってきます。特に聖櫃と難民はかなり尖った特徴があります。
逆にいえば、そこがわかれば聖櫃と難民は割とクリアしやすいシナリオだと思います。そのわかりやすさが好き。
世界観や実際にあった社会問題、ゲームとしての要素をいろいろと組み合わせて、難易度とストーリーに反映しているのがとても素晴らしい。
 
 
 
シナリオモードの他にエンドレスモードもあります。
シナリオ同様なキツめの気候条件とランダムハザード(悪いイベント)を切り抜けながら延々とプレイする「忍耐」。
緩めの気候と比較的潤沢な初期資源でまったりプレイできる「平穏」から選べます。
 
エンドレスモードでもシナリオモードと同じマップでプレイできますし、オリジナルのマップもあります。
個人的に平地↓が一番つらい……。

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平地の初期状態。新しい家マップの倍くらいありそう。
エンドレスモードでは一定時間ごとに大嵐が来るので前哨基地が使えない(そもそも建設できない)=大量の物資を安定供給できないのもなかなかつらいところです。
  
シミュゲーは慣れるとヌルゲーになってしまうことも多いですが、このゲームは難易度調整が結構細かく指定できるので、自分で縛りをかけてプレイしたい方にも最適かと思います。

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開始前に項目ごとの難易度を決められます。
私はヌルゲーマーなのでハードでもヒィヒィ言ってます。エクストリーム(一番厳しい難易度)と生存者モード(ポーズ不可)なんて一生クリアできる気がしません。
 
 
 
向き・不向きが極端に分かれる作品ではありますが、欠点といえば全体的にゲームバランスが厳しめなこと、日本語訳が(This War is Mineよりはマシになっているとはいえ)微妙なことくらいでしょうか。
  
他にツッコミどころがあるとすれば、スカウト(外部探索隊)の無敵っぷりかなw
彼ら、木材40だけ渡せば1チームあたりたった5人でどこまでも遠くへ旅をしてくれます。食料は現地調達なんでしょうね。
木材は燃料なのかなーと思ってたんですが、チーム解散時にまるまる戻ってくるので違うようです。休憩用のテントでも組んでるんでしょうか。
町の住人がちょっと寒いとすぐ病気になる中、スカウトは直接の危険(例:熊との遭遇・嵐の直撃)などがない限りはどこまでも・いつまでも健康体で探索してくれます。
強い。
  
私はまだ自分で確かめてはいないのですが、いわゆるカニバリズムな法律もあるようです。まあ、こういう極限状態では致し方ないところですね……。
戦争はいつか終わるはずだと思えますが、氷河期はいつ終わるかわかりませんから。
発売当初は堂々と画面に出ていたらしいんですが、クレームが殺到して隠しルート扱いになったとか。
これも、気になる方にはなるかもしれません。
 
 
近年のゲームらしくDLCも3つあります。
まだそちらはプレイできていないので、全部クリアできたら記事にしようかと思っています。 
 
常に舞い散る雪、気温低下時の凍りつくエフェクトとSE、上昇時の雪解け、シナリオ終盤時のBGMの盛り上がりっぷりなど、演出面も素晴らしいゲームです。
これはスクショでは伝わりにくいですし、ぜひ動画を見ずに自分の目と耳で体験していただければと思います。
決して爽快感が味わえるゲームではないんですが、しばらく経つと「またやろうかな」と思える、不思議な魅力がありますよ。